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 最新の税金・FPトピックス 19年11月

 最低賃金法が成立、違反時の罰金も大幅に引き上げ

 11月28日の参議院本会議で「最低賃金法」の改正案が可決成立しました。
 最低賃金法は、労働者の生活を守るためのセーフティネットとして、「その金額以下で労働者を働かせてはいけない賃金=最低賃金」を定めている法律です。ただし、この法律は最低賃金額そのものを定めるものではなく、最低賃金の効力、決め方、取り扱い、罰則などを規定しているものです。


 実際の最低賃金は、この法律に基づき「最低賃金審議会」がその時々の経済情勢に応じて47都道府県ごとに定めます。最近は毎年見直されており、現在の最低賃金額は全国平均で時給687円となっています。


 今回の改正案は、最低賃金が生活保護の給付水準を下回る逆転現象の解消を目指すのが主な目的です。具体的には、最低賃金の原則に、「労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」という条文が加えられました。この条文は憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の精神を反映したものです。


 この改正は今後の最低賃金の見直しにおいて、事実上の最低賃金引き上げを促すものといえます。また今改正では、最低賃金を守らなかった企業に対する罰金額の上限も従来の2万円から50万円に引き上げられています。


 なお、この改正最低賃金法の施行日は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内」とされています。



忘年会の費用は福利厚生費?


 年末に会社や部署で忘年会を実施する企業は多いでしょう。
 最近では、参加する社員が自費を出し合って行う忘年会も増えてきているようですが、会社が忘年会の費用を出すような場合には注意が必要です。


 社員旅行や新年会、忘年会などのように、社員の慰安を目的とする費用については、社員全員が対象であるかないかが福利厚生費の判断基準になります。たとえば、役員や幹部社員だけの忘年会、一部の部門だけが実施する忘年会、有志だけの忘年会などの費用を支出した場合は、原則として給与(役員給与)、または交際費として扱われることになります。特に役員給与や交際費とされた場合は、会社の損金にできないこともありますので注意しましょう。


 また、福利厚生費は社会通念上認められる範囲のみが対象になりますから、海外での忘年会、風俗店での忘年会、二次会や三次会などの費用については、福利厚生費と認められないケースもあります。


 ところで、忘年会などにおいてビンゴゲームなどを実施して賞品を出すことがあります。この賞品代を会社が負担した場合も、原則として福利厚生費とすることができます。ビンゴゲームのように偶発性の高いゲームで当たった景品は、会社の地位や役割、成績などによって個人に授与される記念品等とは異なり、忘年会の費用の一部を成すものとして考えられるからです。


 ただし、これを景品ではなく現金で支給した場合は、福利厚生費ではなく給与として扱われます。これは、忘年会の参加費を現金で社員に支給した場合も同じです。
 また、一個数十万円もするような景品も社会通念上、福利厚生費とは認められないと考えたほうが良いでしょう。



政府税制調査会の今年度答申


 政府税制調査会(首相の諮問機関:香西泰会長)が「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題した答申を公表しました。
 消費税率の引き上げ、所得税の最高税率の見直し、配偶者特別控除など各種控除制度の見直しなどについて触れていることから、概ね「増税色の強い答申」と報道されているようです。


 しかし、冒頭に「平成20年度以降どのようなタイミングで実施に移していくかについては、今後、政府において適切に判断されることを求めたい」とある通り、各税目の見直し時期についてはほとんど触れられていません。さらに、その規模や範囲について明言されている部分も見当たりませんし、意見の集約のみとなっている部分も見受けられます。


 同答申については、そもそもの政府税制調査会の役割である「中長期における税制の方向性を示す」ものと捉えておいた方がよいのかもしれません。


 なお、消費税については、「持続可能な社会保障制度を支える」中核を担うものとして位置づけられており、社会保障費の増大に対応するために、消費税の社会保障財源としての位置づけを明確にするとともに、消費税率を引き上げていく姿勢を明らかにすべきとされています。税率引き上げの時期や規模については触れられていませんが、食料品などに対する軽減税率については「効果が乏しい」と否定。また、インボイス方式への移行や免税点制度、簡易課税制度の見直しなど、より透明性の高い税制への転換を図るべきと提言されています。


 個人所得課税については、累次の累進緩和の結果、我が国の税率構造が主要国に比べて特異の構造となっていると指摘。税率とその適用範囲、最高税率についての見直しの方向を打ち出しています。さらに、配偶者控除等、扶養者控除、給与所得控除、公的年金等控除などの控除制度についても、「ライフスタイルや働き方の多様化」に対応した制度に見直していく必要性を論じています。



年金払い生命保険への所得税課税訴訟、二審判断は適法


 年金形式の生命保険について、相続税と所得税の二重取りは違法として国を訴えていた裁判の二審判決が出ました。一審では違法という画期的判決が出て注目されていた裁判ですが、二審の判断は「適法」。原審の判決が覆ったわけです。


 同訴訟は、妻が夫の死亡時に受け取った一時払いの保険金4000万円と年230万円を10年間受け取れる特約年金の受給権(評価額約1380万円)分の相続税を支払ったところ、長崎税務署が年金230万円に対しても「雑所得」にあたるとして所得税を課したことから、妻が所得税分の課税取り消しを求めたものです。特約年金の受給権と受給額の両方に課税することが二重課税にあたるかどうかが問われていた裁判です。


 一審の長崎地裁は、これについて「保険金の受給権と実際に支払われた保険金は実質的には同じ。同一の資産に二重課税は許されない」と課税取り消しを命じましたが、国はこれを不服として控訴していました。


 今回の控訴審(福岡高裁)の適法判断は、妻が受け取る年金を夫の死亡後に発生した「支分権」に基づくものと認定したことによるものです。保険金の受給権には「基本権」と「支分権」の二つがあり、基本権は年金を受け取ることができる権利、支分権は各支給期月に実際に年金の支給を受ける権利のことをいいます。
 
 
 つまり、相続税が課税された年金受給権は基本権に基づくもの、受け取った年金は支分権に基づくものだから、両者は法的に異なるもので個々に課税することが適法であるという判断です。特約年金の受給権と受給額について「実質的には同じ」とした一審の判断を真っ向から覆したわけです。


 しかも、受け取った年金は夫の「死亡後に発生した」支分権に基づくものなので、相続税の対象である保険金ではなく、所得税の課税対象としての年金にあたるということです。
 また、福岡高裁は加えて、年金払いの死亡保険金に所得税を課すことが立法当時に予定されていた(昭和38年の税制調査会答申)ことも、受け取った年金に所得税を課税することが適法とされる一つの理由だと判示しています。


 妻(原告)は最高裁に上告しています。



「住民税の住宅ローン控除」の手続きが明らかに


 「住民税の住宅ローン控除」制度は、平成18年度税制改正で所得税から住民税への税源移譲が行われたことに伴い、所得税から控除しきれなくなった住宅ローン控除額について、市町村に申告すれば住民税から控除することができるという制度です。


 この「住民税の住宅ローン控除」制度について、総務省は「市町村民税・道府県民税 住宅借入金等特別税額控除申告書記載要領」を作成。その手続き方法について明らかにしています。


 対象になる人は、平成11年1月1日から平成18年12月31日までに入居した住宅について住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の適用を受けた人で、平成19年度以降の住宅ローン控除額がその年の所得税額よりも多い人です。
 控除できる金額は「『税源移譲前の所得税率で計算した所得税額』か『住宅ローン控除額』の低いほう」から「税源移譲後の所得税率で計算した所得税額」を差し引いた金額です。


 なお、この控除を受けるためには、市町村に対し毎年の申告が必要です。確定申告をする人は確定申告と一緒に税務署に申告することができますが、サラリーマンなど確定申告をしない人の場合、3月15日までに市町村に申告する必要があります。


 申告書の様式や記載要領は各市町村のホームページで公開されています。



中小企業の経常利益が5年連続で増加


 国民生活金融公庫が2006年度の「中小企業経営状況調査」を公開しました。これは、今年の1〜3月に決算を行った法人企業1905社の決算書を対象に、売上高や経常利益、固定費、借入金などについて尋ねたものです。


 同調査によると、2006年度における中小企業一社あたりの売上高は3億818万円で4年連続の前年比増、経常利益は一社当たり536万円(同18.0%増)で5年連続の前年比増となりました。
 さらに、収益性を表す指標でも、売上高営業利益率が1.8%(同1.6%増)、売上高経常利益率が1.74%(同1.68%増)とわずかながら上昇しています。


 このように収益性が高まっている背景としては、人件費(同4.2%減)を中心とした固定費(同2.7%減)の減少があります。バブル崩壊以降、大企業がリストラクチャリングによって収益性を高めてきたのと同様、中小企業でもコスト削減など経営の効率化により、収益性の向上に向けた取り組みがなされている状況があるようです。


 しかし、これを業種別に見ると、製造業(売上高4.9%増、経常利益30.5%増)、建設業(売上高3.6%増、経常利益37.7%増)のように好調な業種もあれば、卸売業(売上高0.7%減、経常利益24.5%減)のように低調な業種もあります。また、原油高騰の影響か運輸業(売上高0.8%増、経常利益19.2%減)のように増収減益になっている業種もあります。


 一見、中小企業全体が上昇傾向にあるようにみえる同調査ですが、このように業種間の格差が広がってきている様子も見て取れる結果になっています。



国税庁が第3回インターネット公売を開始


 国税庁が「平成19年度第3回インターネット公売の実施について」のお知らせをしています。


 国税庁が「Yahoo!オークション」を利用したインターネット公売を導入したのは今年5月でした。第1回目のインターネット公売には251点(見積合計約6000万円)が出品され、そのうち217点が見積価格の1.7倍にあたる約9460万円で落札されました。
 また、第2回目のインターネット公売は10月に行われ、第1回目では出品されなかった自動車を含めて722点(見積合計約2200万円)が出品され、約3290万円で落札されています。


 3回目となる今回の目玉は不動産です。試行的な意味合いもあった1回目、2回目のインターネット公売では動産のみが対象でしたが、ついに公売物件の「本丸」である不動産が対象となったわけです。


 今回公売されるのは、33道府県の不動産および会員権などリゾート物件の265物件です。もっとも高額な公売物件は長崎県長崎市の3階建てビルの見積価格6720万円。そのほか神奈川県湯河原町の別荘(同5600万円)、静岡県浜松市の福利厚生施設(同3010万円)なども出品され、リゾート物件でも三重県鳥羽市のリゾートホテル会員権(同114万4千円)などが出品されています。不動産中心ということもあり、総見積額(最低入札価格の総額)は約8億800万円に跳ね上がりました。


 参加申込は11月19日まで。官公庁オークションのサイトから物件ごとに参加を申し込みます。入札は11月27日13:00〜12月3日13:00まで受付けられ、落札の決定は12月11日の予定です。




滞納者等への国の原告訴訟、勝訴率は96.2%


 国税庁が「平成18年度原告訴訟の状況」を公開しています。これは、国が原告として税金の滞納者などに対して提起した民事訴訟(差押債権取立訴訟、名義変更訴訟、詐害行為取消訴訟等)の状況を公開したものです。


 それによると、平成18年度に国が原告となった訴訟事件の発生件数は163件。税金の滞納残高が8年連続で減少していることなどもあり、同訴訟事件の発生件数は平成16年度の214件をピークにやや減少傾向ではありますが、依然として高い水準にあります。
 また、平成18年度に終結した訴訟事件は158件で、そのうち152件が国の勝訴でした(勝訴率96.2%)。


 国税庁では、長期滞納事案や財産を隠蔽するなどの悪質滞納事案などについて、法律や訴訟を駆使して厳正に対処する方針をとっており、そのうち、差し押さえた債権の回収などについては、法務局(法務省)に依頼して民事訴訟を積極的に行っています。


 今回の公表では、滞納者が有する譲渡禁止特約付き建設工事請負代金債権が金融業者に譲渡された事案で、譲渡禁止特約の確認等をせずに行われた譲渡の有効性が問われたケース、国税当局が差し押さえた貸付け債権について、滞納残高を超える差し押さえが権利濫用にあたるかなどが問われたケース、不動産信託受託権の譲渡に係る消費税を滞納した会社が、当該譲渡額の一部を100%親会社への債務の弁済に充てたことが詐害行為(債権者を害することを知ってした法律行為)にあたるかどうかが問われたケースなどが事例として公開され、いずれも国が勝訴しています。



2007年度上半期の税収実績は14兆591億円


 財務省が「平成19年度9月末租税及び印紙収入、収入額調」を公表しています。これは、2007年度上半期(4月〜9月)における税収実績をまとめたものです。それによると、2007年度上半期の税収実績の総額は、前年同期比で7.2%増の14兆591億円だったそうです。


 ただ、上半期の税収実績には、主に3月に申告・納付される申告所得税や国内法人の多くを占める3月決算法人の法人税が含まれておらず、平成19年度の税収予算額53兆4670億円に対する進捗率は26.3%に過ぎません。


 上半期の税収でもっとも税額が大きいのは源泉所得税額の5兆9390億円です。前年同月時点に比べて12.6%多い税額になりますが、これは昨年7月に所得税の一部が譲与税として地方自治体に配分されたためで、配分しなかった場合の源泉所得税額と比べると8.9%の減収になります。国から地方への税源移譲に伴い、今年一月から給与所得の源泉徴収率が下がっているため、国の源泉所得税収は実質的に減少しているのです。


 また、税収が次に大きい消費税も前年同月時点比で4.7%の減収となる2兆3622億円でした。現時点でこれについての原因は分かりませんが、改正建築基準法などの影響などもあって、住宅取引きに昨年ほどの勢いがないことも影響しているのかもしれません。


 さらに、法人税収が前年同月時点比で4.2%増の1兆5008億円となっているものの、平成19年度予算額が前年度比9%増を見込んでいるだけに、必ずしも喜ばしい状況ではありません。


 現時点で今年度の税収を予測することは難しいですが、税収見積もりを4兆5900億円も積み増した昨年のようにはいかないかもしれません。財務省でも「今月中〜下旬に出そろう企業の中間決算の動向を見て」今年度の税収見込みを予測する方針のようです。


 歳入という観点では、来年度の税制改正内容や規模にも影響する事柄ですので、注意して見ておく必要があります




 消費税(法人)の実地調査件数が昨年に引き続き増加

 国税庁が公表した「平成18事務年度における法人税の課税事績」によると、今年の6月までの1年間(平成18事務年度)に実施された消費税(法人)の実地調査が、前年に比べて3.3%増加し13万9千件となっています。
 これは、前年比で20.7%も増えた前年(平成17事務年度)に引き続いての増加ということになります。

 この傾向は、先日公表された消費税(個人)ではさらに顕著で、平成18事務年度の調査等の件数9万6443件は前年比で33.3%増となり、同117.3%増えた平成17事務年度に引き続いての増加になります。
 パーセントでいうと実感がないかもしれませんが、前々年に比べると9万4千件、前年に比べても2万8千件、調査数が増えているのです。

 平成17事務年度に消費税の調査件数が増えているのは、
平成15年度税制改正で消費税の免税点や簡易課税の適用上限が引下げられ、
消費税課税業者や原則課税事業者が大幅に増えたことが主要因です。また、
消費税は担税者(消費者)と納税者(事業者)が異なるため税の滞納が
おきやすく、それが社会問題となっていることも一要因になっているようです。

 さらに、消費税の税務調査は赤字企業でも対象になります。特に継続的に
赤字であるような企業の場合、法人税や所得税があまり発生しないため、
納税に対する意識が低い場合があります。
 しかし、たとえ赤字企業でも、受取った消費税より支払った消費税の方が
多いなどというケースは滅多にありません。免税事業者や休眠会社でない
かぎり、ほぼ消費税の納税が発生するのです。そして、前述の税制改正で
新たに課税事業者になったところには、このような企業が少なくありません。

 消費税の調査は帳簿を中心に行われます。特に法人税や所得税では問題に
ならない、取引ごとの消費税の課否判定が問題にされることが多いため、
日々の取引記録が一層重要になります。


 
    法人所得額が過去最高。申告漏れは1兆7千億円

 国税庁が「平成18事務年度における法人税の課税事績」を公表しました。

 同公表によると、平成19年6月末現在の法人数は300万5千件(前年比100.9%)。このうち、今年6月までの1年間(平成18事務年度)に法人税の申告を行った法人は276万7千件(申告割合89.9%)で、申告所得金額は57億828万円(前年比113.3%)でした。また、赤字申告をした法人の申告欠損額は16億4949万円で前年より27.4%減少しています。この結果、法人税の申告税額は前年に比べ14.8%(1兆8609億円)増の14億4578万円になっています。

 申告所得金額57億828万円は、バブル絶頂期だった平成2事務年度を超えて過去最高額です。ただ、平成2事務年度においては黒字申告をした法人の割合が約50%だったのに対し、平成18事務年度は同32.4%(前年比0.5%上昇)にとどまるなど、まだ多くの企業が苦しんでいる実態も表れているようです。

 また、同公表では、平成18事務年度に行われた法人税の実地調査の状況も明らか
 になっています。
 実地調査を受けた法人は、前年よりも2.4%多い14万7千件でした。
 前年比で15.4%も増えた平成17事務年度に比べると多少落ち着いた感は
 ありますが、依然として実地調査を受ける法人数は増え続けています。
 このうち、更正・決定等の処分を受けた法人は10万4千件(構成比72.7%)で、
 不正計算を指摘された法人も2万9千件(同20.3%)ありました。
 申告漏れ所得金額は1兆7247億円で、追徴税額は4402億円、
 うち加算税は633億円に上ります。

 不正発見割合の高い業種では、ワースト1位からワースト3位までは昨年と同じく
 「バー・クラブ」52.0%、「パチンコ」49.1%、「廃棄物処理」35.3%でした。
 また、活発化している土地取引の影響からか、「建売、土地売買」26.1%が圏外から
 ワースト9位に入っています。
 一方、1件当たりの不正脱漏所得金額が大きな業種では、「貿易」7921万円が
 昨年のワースト6位からワースト1位に、「電子機器製造」3926万円がワースト5位
 からワースト2位になったほか、「鉄鋼卸売」、「鉄鋼製造」、「廃棄物処理」、
 「情報サービス・興信所」が圏外からワースト10入りしました。