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 最新の税金・FPトピックス 19年10月

査察を受けて告発された160件、すべてが有罪


 
国税庁が平成18年度の「国税犯則事件表関係(速報)」を公表しました。

 国税局や税務署が行う税務調査や査察(マル査)は国税犯則取締法という
 法律に基づいて行われます。その結果、裁判所に告発されたり、
 通告処分を受けたものを国税犯則事件といいます。
 
 国税犯則事件には直接国税犯則事件と間接国税犯則事件とがあり、
 間接国税犯則事件とは消費税(課税貨物に課される消費税除く)以外の
 間接税(酒税、たばこ税、揮発油税、地方道路税など)に係る犯則事件、
 直接国税犯則事件はそれ以外(所得税、法人税、消費税、相続税など)に
 係る犯則事件のことをいいます。

 国税庁の公表によると、平成18年度において直接国税犯則事件
 (査察事件)の一審判決が出たのは160件で、
 そのすべてが有罪(有罪率100%)になっています。
 
 
 国税犯則取締法では、裁判所の許可を得て査察を行い
 「犯則アリト思料スルトキ」、つまり犯則の事実が明らかであると
 思われる場合は「告発スベキ」としています。
 そもそも査察は嫌疑濃厚、確実な場合に行われる強制調査ですから、
 査察を受けた場合には高い確率で告発されることになります。
 
 そして、告発された場合の有罪率100%も平成18年度だけの傾向では
 ありません。
 これまで査察を受けて裁判所に告発されて無罪になったケースは
 ないのです。
 
 一方、間接国税犯則事件の場合は原則として告発されませんが、
 その代わりに通告処分(行政処分)を受けることになります。
 調査を受けて犯則の事実が明らかである場合、国税局等から罰金の
 納付通告を受けることになるのです。
 今回の公表結果によると、平成18年度においてこの間接国税犯則事件に
 係る通告処分を受けた件数は29件(前年度18件)で、そのすべてが酒税に
 係る犯則事件でした。


 


  ネット株取引の普及で譲渡所得の税務調査が増加


 国税庁が「平成18事務年度における所得税及び消費税調査等の状況に
 ついて」を公表しました。同調査は全国の税務署が平成18事務年度に
 実施した、所得税および個人消費税に係る税務調査の状況を明らかに
 したものです。

 なお、「事務年度」とは、7月1日から翌年6月30日までを
 1単位とした年度をいいます。
 この期間に各年度(4月1日から3月31日)に行われた税務申告等に係る
 事務(調査など)を実施するため、事務年度という言い方をするようです。

 同公表結果によると、平成18事務年度に実施された所得税調査等の
 総件数は79万4956件(前事務年度80万6769件)、所得税(譲渡所得)が
 8万1253件(同6万7234件)、個人消費税が9万6443件(同7万2639件)
 でした。

 このうち所得税の調査等の件数については、平成14事務年度以降、
 76万8千件→79万9千件→78万1千件→80万7千件と約80万件前後で
 推移しており、平成18事務年度の状況(79万4956件)も例年並といって
 よいでしょう。
 また、所得税の調査等の結果、申告漏れ等の非違を指摘されたのは
 調査等件数の72.3%にあたる57万4785件で、
 申告漏れ所得金額は9166億円、追徴税額は加算税を含めて
 1243億円でした。これも例年並の水準です。

 一方、所得税(譲渡所得)の調査等の状況では、調査等件数が
 前事務年度比で21%、非違件数が35%、加算税を含めた追徴税額が
 16%も増えています。
 譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権など、
 資産の譲渡による所得をいいますが、これについて調査等が
 増加しているのは、株式等の譲渡所得に対する調査等が
 前事務年度よりも63%も増加して3万608件となったためです。

 株式のインターネット取引が普及した結果、いわゆるネットトレーダーが
 爆発的に増加し、その中には故意、非故意を問わず申告を忘れたり、
 誤った申告をする人が多いのだと思われます。

 また、譲渡所得の調査等件数のうち1030件はFX(外国為替証拠金取引)
 についてのもので、FXがハイリスクハイリターン型の取引のためか、
 非違を指摘された1件あたりの申告漏れ額は2176万円と非常に高額に
 なっています。

 なお、毎年話題になる「1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が
 高額な上位10業種」ですが、平成18事務年度は
 キャバレー(前事務年度4位)が1件当たり2769万円で1位。
 2位は貸金業(同1位)2648万円、3位は風俗業(同2位)2113万円で、
 4位の情報サービス業1599万円は初めてのランクインです。


   消費税(個人)の税務調査件数は引き続き増加傾向


 このほど国税庁が公表した「平成18事務年度における所得税及び
消費税調査等の状況について」によると、前年度に大幅に増加した
個人消費税に対する税務調査等の件数が、さらに2万件以上増加している
ことが明らかになりました。

 同公表結果によると、個人消費税に対する平成18事務年度の調査等の
件数は9万6443件で、前事務年度に比べて2万4074件増加しています。
個人消費税に対する調査等件数は平成14年度以降、3万9千件→3万4千件→3万件と比較的穏やかに推移していましたが、
平成17事務年度に7万2千件と一挙に跳ね上がっています。

 これは、平成15年度の消費税法改正により消費税の免税点や簡易課税の
適用上限が引下げられ、消費税課税業者や原則課税事業者が大幅に
増えたこと、また消費税の滞納が社会問題になっていることなどから、
国税庁が消費税について重点的に調査を実施したためだといわれています。

 平成18事務年度の調査等件数が、この平成17事務年度を
2万件以上超える調査等件数となったことは、
引き続き国税庁が本気だということを表している
といっても良いでしょう。

 また、平成17事務年度に前年度比で3倍近く増えた「簡易な接触」による
調査が、前年度の1万7711件から1万5041件に減少しています。
簡易な接触とは、計算の誤りや各種控除の適用誤りなど簡単な誤り内容に
ついて、納税者に電話するか、または税務署に呼んで是正する
調査のことです。

 この減少が、前述の改正で新たに課税事業者や原則課税事業者になった
人が申告方法に慣れた結果として、ケアレスミスが減ったためなのか、
それとも税務署の「簡易な接触」に対する適用基準が変わったためなのか、
多少気になるところです。

 なお、個人消費税の調査等の結果、申告漏れ等の非違が発見されたのは
調査等件数の71.1%にあたる6万8560件で、追徴税額は加算税を含めて
256億円でした。


  税源移譲で住宅ローン控除額が減少した人の年末調整

 国税庁が「税源移譲の実施に伴う給与所得の源泉徴収票の摘要欄の
記載について」情報を公開しています。
 平成18年度税制改正では、所得税(国税)から住民税(地方税)への
税源移譲が行われました。その結果、今年からほとんどの人の所得税額が
減り、住民税額が増えています。

 ここで問題になるのが、いわゆる住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
の取り扱いです。同控除においては、上限額が所得税額と定められている
ため、所得税額の減少はそのまま控除上限額の減少となります。
控除額(ローン残高の1%)が所得税額を超えるような人の場合、
国や地方に払う税額は同じなのに、控除できる額が減少するということに
なってしまいます。

 そこで、平成18年度税制改正では、平成11年1月1日から平成18年12月31日までに入居した人に限り、所得税額が減ったことにより控除額が
減少した場合、その減少額を住民税額から控除できるという措置が
とられています。今回の国税庁の情報は、年末調整において
同措置を受けるための事務処理についてのものです。

 具体的には、年末調整を行う際に、「給与所得の源泉徴収票」の摘要欄に
「住宅借入金等特別控除可能額」および「居住開始日」を記載することに
なります。
なお、「住宅借入金等特別控除可能額」は、「給与所得・退職所得に対する
所得税額源泉徴収簿」の「住宅借入金等特別控除額」の欄を転記します。

 たとえば、算出した所得税額が25万円で、控除額が30万円だった場合、
「住宅借入金等特別控除可能額:300,000円」
「居住開始日:平成○年○月○日」と記載します。

注意しなければならないのは、「住宅借入金等特別控除可能額」に
記載するのは算出所得税額と控除額との差額
(上の例では30万円−25万円=5万円)ではないこと、
控除額が減少しない場合は「住宅借入金等特別控除可能額」を
記載する必要が無いことです。
また、「居住開始日」も忘れずに記載しましょう。



事業主と事業専従者だけの親睦旅行

 個人事業主の場合、従業員が奥さんや子供だけというケースが良くあります。所得税では、原則として事業主と生計を一にする配偶者、その他の親族に対する経費を認めていません。労働の対価を支払ったとしても、それは給与ではなく小遣い的なものとしてみなされてしまうのです。

 しかし、適用を受ける年の3月15日までに所轄税務署に届出(青色申告者)、または確定申告時に必要事項の記載(白色申告者)をすることで、その親族等に支払った給与等の全額または一定額を必要経費にできる制度があります。

 その制度の適用を受ける親族等のことを「事業専従者」といいます。ただし、年齢が15歳未満の場合、または事業に従事した期間が一年の半分以下の場合は事業専従者にはなれません。当然、給与が実際に支払われたという事実は必要です。

 ただ、注意しておかなければならないのは、事業専従者となった人は控除対象配偶者や扶養親族にはなれないということです。配偶者控除(または配偶者特別控除)では最大で所得税38万円、住民税33万円の所得控除が受けられます。
また、扶養者控除は原則38万円で、その者が16歳から23歳の子供の場合や70歳以上の老親だった場合、障害者の場合などはさらに控除額が加算されます。これらの控除額よりも低い給与額を支払っている場合には、かえって所得税額が増えてしまうことになりかねません。

 また、慰安・親睦旅行にも注意が必要です。個人事業の場合でも、基本的に使用人に対する慰安・親睦旅行の費用は必要経費(福利厚生費)として計上できます。さらに慰安・親睦旅行の費用として認められれば、事業専従者に対する旅行費用等も他の使用人と同様に必要経費にできます。

 ただし、これは事業専従者以外の使用人が旅行に参加した場合に限られます。事業専従者以外の使用人がいない、または旅行に参加しない等の理由により、事業主と事業専従者だけで旅行に行った場合は、ほとんどのケースで家族旅行(家事関連費)とみなされてしまいます。当然、家事関連費は事業の必要経費にはできません。




国税庁が平成19年分個人決算の留意点を公開

 国税庁が「平成19年分の決算に当たり留意すべき事項について」という情報を公開しました。これは、個人の決算(12月31日)にあたって、平成19年度税制改正で改正された減価償却制度、繰延資産の範囲、特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例について、留意すべきポイントをまとめたものです。

 特に抜本的に見直された減価償却制度については、決算・申告作業が複雑化することが予想されます。決算までにはまだ時間がありますが、事前の確認をしておいた方が良いかもしれません。

■減価償却制度
 平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産について、「残存価額(10%)」及び「償却可能限度額(5%)」が廃止されることとなり、未償却残高が1円(備忘価額)になるまで償却できるようになりました。
 また、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産についても、未償却残高が5%に達した年分の翌年分以後5年間で1円まで均等償却できることとされました。
 これに伴い、償却費の計算(定率法、定額法等)で利用する償却率が変更されるとともに、従来の定率法、定額法が旧定率法、旧定額法と改定されています。

 情報では、それぞれの償却方法について計算式を明らかにした上で、各種計算例なども掲載されています。
 そのほか、「決算書・収支内訳書(減価償却費の計算欄)の書き方」をはじめ、「償却の方法を変更した場合の償却費の計算方法」「資本的支出をした場合」「償却の方法の選定・変更」「定額法と定率法の償却方法判定フロー」などの実務情報も掲載されています。

■繰延資産の範囲
 繰延資産の範囲から試験研究費が除外されるとともに、開発費から新たな事業の開始のために特別に支出する費用が除外され、この両費用については支出した年分の必要経費に算入できるようになりました。
 ただし、平成19年4月1日以前に支出した費用については、従前どおり繰延資産として扱うことになります。

■特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例
 特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例における不動産所得の損失額の計算等の対象に、特定受益者に係る信託が加えられています。



国税庁が平成19年分の年末調整について情報

 国税庁が「平成19年分 年末調整のしかた」および「平成19年版 給与所得者と年末調整」を公開しました。年末調整まであと2ヶ月ほどですから、担当者の方はあらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。

 なお、今年分の年末調整が昨年にくらべて変わった点は以下の通りです。
■定率減税の廃止
平成19年分以降の所得税では、定率減税が廃止されています。
■所得税の税率変更
国税から地方税への税源移譲に伴い、所得税の税率が従来の4段階(10%、20%、30%、37%)から6段階(5%、10%、20%、23%、33%、40%)になっています。
■「損害保険料控除」が「地震保険料控除」に改組
従来の損害保険料控除(1万5000円限度)が廃止され、地震保険料控除(5万円限度)が創設されました。
※ただし、平成18年12月31日までに締結された「長期損害保険契約等」(保険期間等が10年以上で、平成19年1月1日以降に保険契約の変更をしていないもの)については、従来どおり1万5000円までの所得控除が受けられます。

■電磁的方法での交付、提出
□給与所得の源泉徴収票等の電子交付
給与所得の源泉徴収票、および給与等の支払明細書について、紙での交付に代えて電磁的方法(電子メールや社内システム、記録媒体などでの交付)で交付できるようになりました。
□給与所得者等が提出する源泉徴収関係書類の電子提供
給与、退職手当等、または公的年金等の支払いを受ける者が提出する以下の源泉徴収関係書類について、紙での提出に代えて電磁的方法で提供できるようになりました。
(1).給与所得者の扶養控除等申告書
(2).従たる給与についての扶養控除等申告書
(3).給与所得者の配偶者特別控除申告書
(4).給与所得者の保険料控除申告書
(5).退職所得の受給に関する申告書
(6).公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
ただし、この扱いを受けるためには、給与等の支払をする者が提供者にID、パスワード、電子署名などを付与した上で、提供データの受信・管理をするためのシステムを構築し(構築予定でも可)、所轄税務署長の承認を受ける必要があります。


社員への食事支給は月額3500円まで福利厚生費

 ほとんどの会社の決算書に「福利厚生費」という科目があります。福利厚生費とは、一般的に「従業員の福利厚生のために支出する費用」のことをいいます。

 それでは、福利厚生とは何かというと、福利(幸福と利益:三省堂Web dictionary)と厚生(生活を豊かにし、健康を維持・増進すること:同上)を合わせた言葉です。
 したがって、通常は「従業員やその家族の生活向上、健康増進、慰安、親睦、慶弔などのために支出する費用」のことを福利厚生費と呼んでいます。

 ところが、税法では福利厚生費について明確な定義はされていません。実務においては、税額の計算上、会社の損金とできる費用のうち「従業員の福利厚生のために支出した費用」とされる費用で、かつ給与所得とならない(=所得税が課税されない)費用のことを福利厚生費として区分しているに過ぎないのです。

 そのため、福利厚生費とされる費用(慰安旅行や制服の支給、健康診断、慶弔などの費用)については、個別に法令、通達等でその取り扱いが示されています。
 たとえば、会社が従業員に支給する食事の取り扱いは以下の通りです。

■一般的な取り扱い
 食事代の50%以上を従業員等が負担し、会社が負担した食事代が月3500円以内である場合は福利厚生費にできます。(所得税基本通達36-38-2)
 ただし、この場合の食事代とは、社員食堂などで会社が調理して支給する食事の材料費、または会社が購入して支給する弁当などの購入費のことをいい(所得税基本通達36-38)、現金で支出した場合は給与手当とみなされます。

■残業者や宿直、日直者に支給する食事
 支給した食事は原則として全額を福利厚生費にできます。ただし、その時間の勤務が支給者にとって本来の業務である場合はこの限りではありません(所得税基本通達36−24)し、現金で支給した場合は給与手当として扱われます。
 また、社会通念上で「高すぎる」食事も給与所得とみなされる可能性があります。これについては明確な基準があるわけではありませんが、1000円〜1500円程度であれば問題はないでしょう。

■深夜勤務者に支給する夜食
 原則は一般的な取り扱いと同じです。ただし、会社が調理施設を備えていないなど、夜食を現物で支給することが著しく困難な場合は、1回300円までの定額を夜食代として現金で支給(給与に加算)しても福利厚生費として扱えます。(個別通達:直法6-5、直所3-8)。
 なお、深夜勤務者とは正規の勤務時間による勤務の一部又は全部を午後10時から翌日午前5時までの間に行う人をいいます。

 最新の税金・FPトピックス 19年 9月

出張旅費を支払う場合の注意点

 役員や社員が出張した場合、その出張経費(出張旅費、宿泊費、日当等)については、実費を計算して精算するケース、定められた出張旅費規程に応じて支払うケース、出張旅費規程は無いが慣習や上司決済等によって都度支払われるケースなどがあります。

 所得税法(9-4)によると、「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をした場合」などについて、「その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」には所得税を課さないとあります。

 これを逆に言うと、「その旅行について通常必要であると認められる」金額を超えた分については所得税を課すということで、その超えた額については、社員の出張旅費であれば給与、役員の出張旅費であれば役員給与として扱われることになります。なお、役員給与と認定された場合は会社の損金にも計上できません。

 これは、消費税も同じで、消費税法基本通達(11-2-1)によると、「事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当する」とされています。つまり、通常必要である額を超えた分については、消費税の仕入れ税額控除ができないことになります。(簡易課税を選択している場合は関係ありません)

 問題は、この「通常必要と認められる額」の判定です。これについて所得税法基本通達(9-3)では、「その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品」とされています。また、前述の消費税法基本通達(11-2-1)では、「役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたもの」もしくは「同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるもの」であるかどうかを勘案して判定することになっています。

 出張旅費が領収書等をもとに適正な実費で支払われている場合、または適正な出張旅費規程がある場合ではほとんど問題は生じないでしょう。しかし、出張旅費規程がいい加減だったり、出張旅費規程が無く慣習や上司決済等によって都度支払われる場合などは、税務調査の際に問題になることがあります。また、出張先で「ちょっと一杯」などの費用やお土産代についても、当然、出張旅費とは認められませんのでご注意ください。


平成19年の「基準地価」が公表 

 国土交通省が基準地価(都道府県地価調査)を公表しました。基準地価とは、毎年7月1日時点の地価を都道府県が調査したものです。

 公表された基準地価によると、全国平均で商業地が前年比1.0%の上昇、住宅地が0.7%の下落となっています。商業地での上昇は16年ぶりのことです。一方、住宅地は16年連続の下落ということになりましたが、その下落率は確実に縮小してきています。

 地域別に見ると東京、大阪、名古屋の3大都市圏で商業地(△10.4%)と住宅地(△4.0%)がともに2年連続で上昇しているほか、地方の中核都市でも商業地の上昇が顕著となっており、特に札幌、仙台、福岡の商業地では上昇率が二桁を記録しています。また、未だ地価の下落が続いている地域も多いのですが、その大半では下落率が縮小傾向にあるようです。

 ところで、基準地価のほかに地価を示す指標には、国土交通省が毎年3月に公表する「地価公示」と、その年の相続税等の計算で使う土地評価額を国税庁が決める「路線価」があります。この2つの指標の基準日は毎年1月1日時点ですから、基準地価はその半年間の経緯を見る指標にもなります。

 今年の地価公示においては、全国平均で商業地が2.3%、住宅地が0.1%上昇しました。それと比べると、今回の基準地価では全国平均で商業地が1.0%の上昇、住宅地が0.7%の下落となっており、地価の上昇傾向に多少ブレーキがかかっているような印象を受けます。

 これについては、これまで地価上昇を先導してきた東京都心部や大阪、名古屋市中心部の値上がりペースがやや落ち着いてきたためだと言われています。年間30%に迫る地価上昇は確かに異常で、バブルの再来を警戒する意見もありましたから、その反動なのかもしれません。

 一方、一部の地方中心都市において地価上昇が顕著になってきているところが増えてきています。また、この傾向は札幌、仙台、福岡をはじめとして、交通や通信などのインフラが整っている都市ほど強いようです。


10月から信用保証協会保証付き融資制度が変わります

 全国信用保証協会連合会が「10月1日より、全国の信用保証協会と金融機関との間で、
『責任共有制度』が導入されます」というお知らせをしています。

 これは、これまで信用保証協会が原則として100%保証していた「信用保証協会保証付き融資制度」において、10月1日以降の受付け分については信用保証協会の保証が80%になり、実際に融資を実行する銀行が残り20%のリスクを負うことになる「責任共有制度」が開始されることを案内したものです。

 そもそも、信用保証協会保証付き融資制度は不況に苦しむ中小企業のためのセーフティネットとして誕生した制度です。銀行より「かなり甘い」といわれる信用保証協会の審査さえ通れば、所定の保証料を支払うだけで信用保証協会が100%保証してくれるため、全国で161万社もの中小企業が同制度を利用して融資を受けています。

 ところが、10月1日受付け分以降、信用保証協会は80%しか保証してくれなくなり、残りの20%は銀行が貸し倒れ等のリスクを負うことになります。
※ただし、従業員数20人以下(商業またはサービス業の場合は従業員数5人以下)の中小企業は従来どおりの100%保証が受けられます。

 実は、信用保証協会の審査を通った場合でも、銀行は絶対に融資をしなければならないわけではありません。ただ、これまでは保証協会が全額を保証してくれる制度だったので、ほぼ100%の確率で融資が実行されていたのです。
 しかし、銀行が20%のリスクを負うことになると話が違ってきます。信用保証協会の審査を通っても、銀行の審査で断られるケースが出てくることが予想されます。今後、同制度を利用した融資を検討する際には、こうしたことも想定して、別途の融資などの準備をしておく必要があるのかもしれません。


10月1日より改正雇用対策法が施行

 中高年層の雇用環境改善を目的に、労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることを禁じた「改正雇用対策法」が10月1日より施行されます。

 改正前の「雇用対策法」でも雇用時等における年齢制限の禁止条項(7条)はありましたが、事業所にとっては努力義務に過ぎませんでした。しかし、改正法ではこれが義務化され、違反した場合には、助言、指導、勧告等の行政措置、および公共職業安定所等における求人拒否などの措置の対象となります。

 また、これまで例外的に年齢制限を認められていた10ケースのうち、「労働災害の防止や安全性を確保する」「体力、視力など加齢により一般的に低下する機能が業務の遂行に不可欠」「取り扱う商品などが特定の年齢層を対象としている」などの4ケースが削除されました。
 今後、年齢制限が認められるのは、以下の6ケースです。
■定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
■労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
■長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
■技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
■芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
■60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

 厚労省では、同改正の内容や例外事由に該当する具体例などについて、分かりやすくまとめたパンフレットを同省のホームページで配布しています。


9月より厚生年金の保険料率が引き上げられます。

 厚生年金の保険料率が9月より0.354%引き上げられます。

■現在の料率:14.642%(労使が7.321%ずつ負担)
■新しい料率:14.996%(労使が7.498%ずつ負担)

 2004年に成立した「年金改革関連法」では、2005年から2017年までの間、毎年9月に厚生年金の保険料率を0.354%ずつ引き上げることが定められており、今回の保険料率の引き上げもこれに伴うものです。

 実際には10月以降に支給する給与から、新しい料率が適用されることになりますのでご注意ください。これは、月々の給与から控除する厚生年金保険料については、当月分の給料から前月分の保険料・掛金を控除することになっているためです。


時価の8割で土地譲渡した場合の贈与税課税に違法判断

 8月23日、東京地裁で注目の判決が出ました。
 この裁判は、親族間で土地を時価の8割で売買した場合、売買価額と時価との差額2割が贈与にあたるかが争われた事案です。

 具体的には、男性が2001年に取得した土地を、数年後に男性の妻と子供に時価の8割で譲渡したところ、税務署が差額の2割は贈与にあたるとして妻と子供に贈与税と加算税を課税。これに対して妻と子供が処分の取り消しを求めたものです。

 この裁判の判決において東京地裁は、相続税において宅地は時価の路線価で評価されていることから、「著しく低い価格での譲渡に当たらず、贈与課税は違法」として、課税当局の課税処分を取り消しました。

 この判決の是非については、意見が分かれるところかもしれません。
 また、この判決がこのまま確定するかどうかも分かりません。確定すれば税務における判断材料の一つにはなりますが、このケースがもし親族間以外(=相続税の対象者でない物)との売買だったらどうか、取得年度内の譲渡の場合はどうか、時価の算定基準について課税当局と見解の差異が生じた場合はどうか、時価や差額割合の誤差はどの程度認容されるのか、などの疑問は残ります。

 土地取引に係る税務は、取引の実態やその他の条件によって取り扱いが大きく異なりますし、一般的に土地取引は取引額が大きいだけに、扱いを誤ると大きな損失が生じかねません。土地取引にあたっては、慎重の上に慎重を重ねて取り扱う必要があります。


今年3月卒の初任給が大幅アップ

 経団連が2007年3月卒の「新規学卒者決定初任給調査結果」を公表しました。それによると、2007年3月に大学を卒業した新入社員(事務職)の初任給は、前年よりも0.66%アップの20万5074円でした。大学卒事務職のアップ率が0.5%を上回るのは1998年以来9年ぶりのことで、1997年(0.7%)なみの水準です。

 また、初任給のアップ率が上昇しているのは大学卒だけではありません。短大卒(事務職)が0.61%、高校卒(事務職)も0.60%とアップし、さらに技術職や現業職も事務職と同程度のアップ率になっています。

 同調査は経団連が会員企業など731社を対象に行ったものです。

 厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」によると、バブル期(1980年代後半〜1990年代初頭)には、3〜6%程度で推移していた初任給のアップ率は、バブル崩壊後に1%前後まで激減。1996年、2004年、2005年に至っては前年よりもダウンしています。

 しかし、昨年(2006年)は大学卒の初任給が3年ぶりにアップ(賃金構造基本統計調査1.2%、経団連調査0.36%)しており、今回の経団連の調査により、今年(2007年)はさらにアップ率が上昇していることが明らかになったわけです。

 産業別に見ると、石油・石炭製品製造業が20.0%もアップしているなど、製造業全体で0.9%と高いアップ率になっています。一方、非製造業ではサービス業が0.5%アップしているものの、全体では▲1.2%のダウンとなっています。
 また、これを企業の規模別に見ると、もっとも大学卒事務職のアップ率が大きいのは従業員数300人〜999人の中堅企業の1.7%ですが、従業員数100人未満の中小企業も0.9%と高いアップ率になっています。逆に従業員数3000人以上の大企業の初任給は横ばいでした。

 このように初任給がアップしている要因は、このところの景気回復と団塊世代の大量退職を背景として、人材の需給バランスが「売り手市場」に移行しているからでしょう。そして、それは求人面で不利な状況にある業界や規模の企業が「初任給を上げざるを得ない」という状況から生まれてきているような気がします。